寝返りをしやすくするストレッチで、朝の腰痛が実際に改善するのです。その方法とは…
朝起きるときの腰痛の原因の1つは、睡眠時の寝返りの回数が極端に少ないということです。
寝返りが減少してしまう原因はいろいろありますが、その中でも寝返りを打つための体の柔軟性が足りないということは大きな原因となります。
そこで、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部の理学療法士である※山口正貴先生が考案した、寝返りをしやすくためのストレッチを紹介したいと思います。
※山口正貴:1980年生まれ。理学療法士として医療・予防業務に携わるかたわら、腰痛の研究を開始。16年の研究論文で日本理学療法士学会の第8回優秀論文表彰で優秀賞を受賞。メディア出演、書籍の執筆などでも活躍中。
簡単ですが、テレビなどでも寝返りの回数が急激に増える結果となった効果絶大のストレッチなので、ぜひ取り入れていただきたいと思います。
そのストレッチとは、「寝たままストレッチ」と言われています。
寝たままストレッチとは
寝たままストレッチとは、文字通り寝たままでたった4ポーズ。
ねじる→タオルを使って行う→腰をまげる→まんがなどを読むような姿勢で行う
という順序で行う簡単なストレッチをいいます。
それぞれの頭文字をとって、ね・た・ま・ま、と名付けられたそうです。
このストレッチは筋力トレーニングとは違い、重力に身をあずけるように行うので体への負担も少なく、誰でもご年配の方でも簡単にできるのが特徴です。
また、このストレッチには柔軟性の明確な目標を設けてあります。一度、目標とする柔軟性まで達してしまえば、1週間に一回程度行うだけで十分ということなので、非常に負担が少ないストレッチと言えるでしょう。
しかし、現在腰痛のある方は根治するためにも1日1回1か月は行ってみてください。効果を感じられるはずです。
「ねたままストレッチ」の詳細に入る前に…
☆1日1回。お風呂の後から寝る前に行うのが効果的。
ストレッチは体が温まっているときが1番効果があります。
「寝たままストレッチ」のすべてのストレッチにおいてまずは1回10秒×3セットを目安にをしばらくやってみましょう。その後、数日経ってどこにも痛みひどくならなければ、徐々にタイムを延ばしていき、最終的には1回30秒×3セットを目標に頑張りましょう。
このストレッチをお風呂上がりにパパっとやってから寝るという習慣が身につくまで続けることが大事です。
☆左右交互に、または休憩を挟みながらリラックスして
「ねじる」「タオル」のストレッチに関しては左右交互に、「まげる」「まんが」のストレッチは1セット行うごとに10秒ほど間隔をあけ、深呼吸しながら全身を脱力しリラックスして行こないましょう。
☆負荷はお尻や足に痛みが出過ぎない程度で、痛気持ちいいというくらいまで
腰痛が強い方は悪化しないか不安になることもあるかもしれませんが、ストレッチ後に腰に少し痛みが出ても、しばらくして痛みが消失するのであれば全く問題ありません。もし数時間も痛み残る場合はやりすぎた判断し、その後の目安にしましょう。
☆反動や勢いをつけず、深呼吸しながらゆっくり
このストレッチをする上で大事なことは、焦って自分で無理に伸ばそうとしないことです。しっかり力を抜いて、筋肉が伸びるのを十分に感じながら行いましょう。
それではやり方の詳細に入っていきます。
【ね】「ねじるストレッチ」
目標:肩と膝が床から離れずにできること
目的:体の側面の筋肉の柔軟性を出し、寝返りに必要な腰を捻る可動域を広げること
〈手順〉
①仰向けでゆっくり片膝ずつ立て、両膝を揃えてから、左右どちらかに倒します。
手は床につけたままで構いません。
10秒たったら反対側へ倒します。両膝をつけたままという目標を達成したら次のステップです。
②上のように膝を引き上げ、逆側の腕をばんざいします。
これも両膝をつけたままという目標を達成したら次のステップです。
③下になっている方の脚をまっすぐ伸ばし、逆側の腕は②同様ばんざいのままです。
これが本来の「ねじるストレッチ」本来の形です。このストレッチは主に広背筋や臀筋が伸ばされ、腰を捻りやすくします。
〈注意点〉
このストレッチは重力にしたがって行うものなので、無理にねじって伸ばさないようにしましょう。あくまでも脱力し、ゆっくり深呼吸しながらです。
【た】「タオルストレッチ」
目標:足の裏が天井を向くこと。
目的:脚の後面(太ももの裏からふくらはぎにかけての筋肉)を柔らかくし、股関節の可動域を広げること
このストレッチはフェイスタオルを用いて行います。
〈手順〉
①つま先をタオルに引っかけ、足の裏を天井目掛けて上げる
フェイスタオルを両手に持ち、片方の足に引っ掛けます。このときの大切なポイントとして「土踏まずではなくつま先」に引っ掛けることです。そうすることでよりストレッチ効果が高くなります。
その後タオルを掛けた足を天井目掛けて上げていきます。
このとき逆の足はまだ立てたままで構いません。
そして、腕の力で足を引き上げます。少し痛いぐらいのところで止めて10秒程度行います。そのあと反対の足も同様に行います。
この状態で足の裏が天井を向ける目標が達成できたら次のステップです。
②逆の足をまっすぐに
①の状態からさらに反対側の立てていた足も伸ばします。これが「タオルストレッチ」の本来の形です。
このストレッチは、脚の裏側のハムストリングスやふくらはぎをしっかり伸ばし、股関節の可動域を広げることができます。
【ま】「まげるストレッチ」
目標:軽い力で太ももが胸につくこと
目的:お尻と腰の筋肉を柔らかくし、腰椎の曲がる可動域を広げること
〈手順〉
①両膝を立てる
腰痛がある場合は、安全のために仰向けで両膝を立てるところから始めましょう。このときの注意点として、必ず片足ずつ立てるようにしましょう。同時に立てると腰が反り痛めてしまうことがあるからです。
②頭を床につけたままで片膝ずつ抱える
次に膝を抱えていきます。まずは負荷が強くなりすぎないように片膝ずつ行います。注意点として、膝を抱えるとき頭が上がらないように気をつけましょう。頭が上がってしまうとストレッチ効果が薄れてしまいます。
③ 両膝を抱える
次は少し強度を上げて、頭は②同様床につけたままで、両膝を抱え込みます。10秒たったら必ず片足ずつ下ろし、①の姿勢に戻に戻ります。腰に痛みが出なければ次のステップです。
④抱えた両膝を胸に引き寄せる
これがまげるストレッチの本来の形です。痛みが出ないようにゆっくり反動をつけず引き寄せるようにしましょう。
このとき腰からお尻の筋肉が伸ばされ、横向きで丸くなったりする姿勢がしやすくなります。
☆両膝を閉じたままだと股関節が痛い人は…
②までは同じ手順で行い、股関節に詰まるような痛みがある人は両膝をくっつけず、開いたままでも問題ありません。
☆膝を曲げると痛い人は…
②までは同じ手順で行い、膝を深く曲げると痛みのある方は無理をせずに、両手を太ももの裏に回し、引き上げるようにしましょう。そうすると膝が過度に曲がりすぎず負担を減らすことができます。
【ま】「まんがストレッチ」
目標:このポーズを痛みを感じずにできること
目的:腹部と太ももの前面の筋肉を柔らかくし、腰椎を反らせる可動域を広げること
〈手順〉
①うつぶせで肘を立てる
まず、肩の真下に来るような位置で肘を立てます。これにより少し体が反った状態となります。これを10秒キープした後、再びうつ伏せに戻ります。
このときのポイントは深呼吸して首からお尻までしっかり脱力することです。
これで痛みが出ないという目標を達成したら次のステップです。
②肘立てに加えて膝も曲げる
これがまんがストレッチの本来の形です。①よりもさらに腹部から太ももの前面が引き伸ばされます。
このストレッチで痛みが出ないという目標達成できるよう頑張りましょう。
☆痛くてうつぶせができない人は…
腰が痛くてうつ伏せになれない場合は仰向けでバンザイを繰り返す動作を行います。この動作により少し体が反ったような状態となり腰椎の可動域を少しずつ広げることができます。このときも床から頭が浮かないように注意しましょう。
以上が(ね・た・ま・ま・ストレッチ)の方法です。
この方法は、腰痛の症状が重い人でもできるように噛み砕いて細かく説明していますが、ある程度自信がある人は、最初から最後の姿勢になっておこなっても問題ありません。
この「寝たままストレッチ」をしっかり継続して寝返りがしやすい体づくりを頑張りましょう。そうすればおのずと腰痛も改善されていくはずです。
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